【ジブリファン必見】久石譲を語り尽くすブログ

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ナウシカのテーマ曲は30分で作られた話

宮﨑駿監督と久石譲の黄金コンビ結成となる映画、「風の谷のナウシカ

なんとこの映画の音楽の作曲には、まさに神が舞い降りたと言っても過言ではないエピソードがあります。

この映画のメインテーマ曲『風の伝説』ですが、

なんとたったの30分で作られた曲だったのです!

 


当時のことを、久石譲は自身の著書でこのように回想しています。

この頃、僕の頭のなかは、音楽で溢れかえっていた。創作意欲で満ち溢れていた。楽器に触れさえすれば、すべて音楽になったと言っても、過言ではない。
キーワードやイメージ・イラストを与えられれば、イメージがほとばしり出た。音楽が生まれた。当時、作曲で苦労した覚えはない。
メインテーマになった「風の伝説」も、ある朝起きて、「今日はなにをレコーディングしようかな」とピアノの前に座って、三十分ほどで作ったものだ。
(「I am -遙かなる音楽の道へ-」 / 久石譲 1992年)39pより引用

この曲は久石譲の初期の代表作で、当時久石譲の名前と共にかなり話題になった曲です。
ただ単純に映画の評判が良いから30分で作った急ごしらえの曲でも評価を得たわけでないのは、
お聴きになった皆様ならお分かりいただけると思います。

では、宮﨑駿監督は、久石譲の音楽をどのように感じたのでしょうか?

イメージ・アルバムのレコーディングを終え、さっそく宮崎監督やプロデューサーの高畑さんに聴いてもらうと、
「そこに流れているメロディの温かさがいい。新しくも古くもない、時代を超えた音楽ですね。気に入りました」
とほめられた。
(「I am -遙かなる音楽の道へ-」 / 久石譲 1992年)41pより引用

今となっては驚くべき話でありますが、
なんと、当時の久石譲は、自分自身のメロディーメーカーとしての才能にまだ気づいていなかったのです。
ナウシカの音楽を作っている時にも、重要視していたのは
印象的なメロディではなく、
音(サウンド)でした。

どのようなメロディが人の心をつかむか、などではなく、
どのようなサウンドを作っていくのか、というところに一番こだわって作っていたのです。

よく「宮﨑駿がメロディーメーカーとしての才能を見ぬいた」などと言われることがありますが、
久石譲自身の著書から言葉を拾うと、

お二人(編集者注:宮﨑駿と高畑勲)は、メロディを気に入って下さっただけでなく、僕のサウンドへのこだわりをイメージ・アルバムから読み取ってくださってくれたのではないかと思っている。
(「I am -遙かなる音楽の道へ-」 / 久石譲 1992年)43pより引用


その後、本当はイメージ・アルバムだけの参加予定だった久石譲が、宮﨑駿と高畑勲の強いプッシュによって本編の映画音楽も制作することとなり、
その後30年に渡る黄金コンビが誕生することとなるわけです。

 

久石譲は、「風の谷のナウシカ」の音楽を振り返って、このように著しています。

 

今ふりかえると、『風の谷のナウシカ』の音楽は、とても不思議なものになってしまったと思う。さまざまな形態の音楽、たとえば、ミニマル・ミュージック的な要素、テクノポップやシンフォニックな要素が同居しているにもかかわらず、なぜか全体がまとまっていて、バラバラに聞こえない。音楽の女神がもっと上の次元で僕に書かせたのかもしれない。

(「I am -遙かなる音楽の道へ-」 / 久石譲 1992年)49pより引用

 

音楽の女神に愛されたのは、この「風の谷のナウシカ」だけでなく、後年の作品でも奇跡と呼べる出来事が多く巻き起こるわけですが、

何度も女神に愛され、奇跡と呼べる出来事が起こるということは、そういう偶然性を超越した類まれな感性と実力があっての奇跡なのではないかなと私は考えます。

 

そんな『風の伝説』のメロディを存分に堪能できるのが、Piano Storiesです。

久石譲自身の演奏によるピアノソロアルバムです。CD準拠で久石譲監修の

オリジナルエディション楽譜も発売されています。

一時期廃盤となり手に入りにくかったCDでしたが、久石譲が立ち上げたレーベルWonder Recordsによって復刻され、今でも多くの人に愛されているアルバムです。

 

 

Piano Stories

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久石譲 ピアノストーリーズ オリジナルエディション

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