ジブリ長編映画作品別音楽解説 魔女の宅急便

１９８９年公開　宮﨑駿監督作品

作品概要

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

魔女の子は13歳になると、一人前の魔女になるために、
一年間の修業に出なければなりません。
黒猫ジジと連れだって、海辺の街コリコにやってきた13歳の魔女キキ。
初めて訪れた大都会で、様々な出来事や人々とのふれあいの中で、
孤独や挫折を経験しながら成長してゆきます。

（ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン作品紹介より）

アルバムリスト

徳間ジャパンのSTUDIO GHIBLI RECORDSより現在発売されている関連アルバムリストです

イメージアルバム

 魔女の宅急便 イメージアルバム

魔女の宅急便 イメージアルバム

サウンドトラック

魔女の宅急便 サントラ音楽集 

魔女の宅急便 サントラ音楽集

ヴォーカルアルバム

魔女の宅急便 ヴォーカルアルバム 

魔女の宅急便 ヴォーカルアルバム

ハイテックシリーズ

 魔女の宅急便　ハイテックシリーズ

魔女の宅急便 ― ハイテックシリーズ

（イメージアルバムとサウンドトラックの違いはこちら）

joelover.hateblo.jp

ソロアルバム収録バージョンについて

サウンドトラックと違い、劇中の尺にとらわれずに、その曲がもつ音楽本来の魅力が最大限引き出されているのがソロアルバム収録バージョンの大きな魅力です。
サウンドトラックでは尺の都合で泣く泣くカットされたフレーズやバラバラに分割された曲も、１つの楽曲として完成された形で聴くことができます。
ソロアルバムのコンセプトにより、オーケストラであったりピアノソロであったり、室内楽アンサンブルであったり、あるいは洋楽ポップス風であったり、その演奏形態はさまざまですが、久石さんのインスピレーションによって制作された楽曲本来の魅力を存分に味わうことができます。

以下魔女宅の音楽が収録されているソロアルバムです

ソロアルバム

Symphonic Best Selection

Symphonic Best Selection(CCCD)

11曲目　魔女の宅急便

『旅立ち』のオーケストラバージョン。
管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団。指揮は金洪才。コンサートマスターは豊嶋泰嗣。
このバージョンでは、豊嶋泰嗣によるバイオリンソロがフィーチャーされている。
全体的にクラシカルな印象の強い魔女の宅急便の音楽世界観を、フルオーケストラ＋久石譲のピアノ＋豊嶋泰嗣のバイオリンという豪華編成で更に拡張している。
特に後半のカデンツァと呼べるソロの見せ場からフルオーケストラへのバドンの受け渡しはこの曲一番の聴きどころである。

Melody Blvd. 

MELODY Blvd

 2曲目 Hush

『旅立ち』の洋楽ポップスアレンジ。
久石譲のソロアルバムの中でも珍しいボーカル主体のアルバムであるが、
オリジナルの英語歌詞にのせて歌われている。
それは原曲が器楽曲であることを忘れさせる、棘のなく聴きやすいメロディーをさらに際立たせる独特の雰囲気を持つ楽曲に仕上がっている。
ヴォーカルアルバムにも『魔法のぬくもり』として『旅立ち』のボーカル版が収録されているが、全く別物である。
LAのアーティストによるインスピレーションは、『旅立ち』という名曲をさらに別次元へと昇華させている。

空想美術館

空想美術館

10曲目　KIKI

『海の見える街』後半部分（イメージアルバム『ナンパ通り』）のチェロアンサンブルバージョン。
2003年のチェロアンサンブルコンサート、その前半１曲目を飾った曲だ。
久石譲指揮のもと、9人のチェリストによる息のあったアンサンブルによる演奏。
リズミカルに刻まれるリズムと朗々と歌われるメロディ。
チェロアンサンブルの魅力を十二分に引き出して自分のフィールドへと持ち込んだ久石譲の編曲妙に、
観客は文字通り息を飲み、拍手をすることすら忘れた。

Melodyphony

Melodyphony~Best of Joe Hisaishi~

3曲目　Kiki’s Delivery Service

『海の見える街』の弦楽合奏とパーカッション、ピアノの為のアレンジ。
演奏はロンドン交響楽団。ピアノソロを久石譲自身が演奏し、あのアビー・ロード・スタジオで録音された久石譲こだわりの名盤である。
「久石譲in武道館」のアレンジを主体に、パートごとの旋律がクラシカルに絡み合い、
久石譲のピアノをフィーチャーしながらもバランスの取れた編曲となっている。
ソロアルバムにあまり収録してこなかった魔女の宅急便の曲を、
自身のオーケストラベストと呼べるこのアルバムに是非入れたかったという渾身の１曲。

Ghibli Best Stories

ジブリ・ベストストーリーズ

 2曲目　Kiki’s Delivery Service

久石譲の過去のソロアルバムからジブリ楽曲を抜粋したアルバム。
「Melodyphony」と同内容の為解説を省略。

Works IV Dream of W.D.O.

WORKS IV-Dream of W.D.O.-

9曲目　Kiki’s Delivery Service for Orchestra(2014)

『海の見える街』のオーケストラアレンジ。
演奏は新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ。指揮は久石譲。
2014年夏のコンサートのプログラムによるアルバム。
「Melodyphony」バージョンを元に、フルオーケストラへとオーケストレーションを拡大させている。
サウンドトラック版とはまったく違う世界観を持つ編曲は、おなじみのメロディを、細かく動く内声部が色彩豊かに彩り、久石譲自身の進化を雄弁に物語る。

コンサートDVD,Blu-ray

a Wish to the Moon 

A WISH TO THE MOON JOE HISAISHI&9 CELLOS 2003 ETUDE&ENCORE TOUR [DVD]

 1曲目　KIKI

チェロとピアノによるデュオバージョン。
後にアルバム「空想美術館」に収録される演奏である。
コンサート１曲目のホール全体に張り詰めた緊張感と、それを切り裂くリズミカルなチェロのリズム。
そして奏でられる想像を遥かに超える色彩豊かで迫力のある演奏に、観客は拍手を忘れ聴き入る。
その一部始終を余すことなく収録している久石譲コンサート史上屈指の名演であるといえる。

久石譲 in 武道館

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ [DVD]

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ [Blu-ray]

 3曲目　海の見える街

4曲目　傷心のキキ

5曲目　かあさんのホウキ

2008年に日本武道館で行われたコンサートの模様が収められたコンサートDVD。
新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラによる演奏で３曲をメドレー形式で演奏していく。
スクリーンは映画ポスターにもなったキキがパン屋で店番をするシーンが映しだされ、
映画への思いを観客が思い起こしたところで、『海の見える街』のイントロが流れ始める。
それはかつて子供だった人たちが大人になり、映画を見て心踊らせていた過去の自分達をやさしく見つめるかのよう。
しかし後半に入ると雰囲気は一転。原曲のリズムをさらに強く打ち出し、ウォーキングベースも登場して楽曲の雰囲気を盛り上げていく。
続く『傷心のキキ』では、映画では音楽をあえて入れずに無音にしていたシーンに音楽を重ねる。
それは映画の中のキキの心情を映画以上に表した瞬間である。
そして楽曲は切れ目なく『かあさんのホウキ』（イメージアルバムの曲名。サウンドトラック『旅立ち』）へと続いていく。
キキの心情をバイオリンソロ（コンサートマスター：豊嶋泰嗣）が切なく、しかし未来への希望を力強く歌い上げる。
「Symphonic Best Selection」でも同曲のバイオリンソロを演奏している豊嶋氏であるが、その歌にさらに磨きがかかっているのは、演奏を聴いた誰もが納得するところであろう。

楽譜について

久石譲の楽譜は数多く出版されていますが、ピアノの楽譜で久石譲公認印が入ったオリジナルエディションは、全音楽譜出版社からのみ出版されています。

また、その他出版社からも優れたピアノソロアレンジされた楽譜が出版されています。

オリジナル・エディションについて詳しくはこちら

joelover.hateblo.jp

全音楽譜出版社

Ghibli Best Stories　（Kiki’s Delivery Service　収録）ピアノソロアレンジ 

久石譲 ジブリ・ベスト ストーリーズ〈オリジナル・エディション〉

ショットミュージック社

 

Melodyphony　（Kiki’s Delivery Service　収録） オーケストラスコア

久石譲 メロディフォニー〈Melodyphony〉オーケストラ・スコア(合唱含む)